発酵の歴史
ヒトが最初に口にした発酵食品は、蜂蜜や果実が微生物により分解されてできた自然発生的な蜂蜜酒やワインなどだと言われています。
古代の人々は、食材がある一定の変化をするとより美味しくなることを知り、次第に栄養価や保存性も高まることに気が付き始めました。
メソポタミアでは5000年以上も前から、故意的にその不思議な変化を利用して食材を加工するようになり、ビールなどの酒を醸造していました。そして上手くいった方法を伝承した事で、結果的に有益な微生物を選択的に利用し繁殖させたことになりました。
その有益な3大発酵微生物と言われているのは、細菌、酵母、カビですが、これらの微生物の力と先人達の経験と知恵を借りて、現代の私たちは美味しい「発酵食品」を口にすることができています。
「発酵と腐敗。腐っているのとどう違うの?」
微生物は、代謝の為に必要な栄養素を自らの酵素を使い栄養源を分解して作り出します。
目には見えない世界の中で、その営みは行われています。それが形となった物が、味噌や醤油や酒、またはチーズやパンであり、私たちの食を支えてくれています。一方放置されたパンには青や白いカビが生え、時間の経った炊飯器のご飯は糸を引くようになり食に耐えなくなります。
実はどちらも、微生物にとっては子孫繁栄のための営みの産物です。そこで、ヒトにとって好ましい場合を「発酵」、好ましくない場合を「腐敗・変敗」と定義づけをしました。